目次
  1. まずはMeta Connectで発表された注目の新機能
  2. 落とし穴1:Macアプリに潜んでいた脆弱性
  3. 落とし穴2:Amazonからの出禁ブロック
  4. 話題3:オープンソース「OpenClaw」の参考を認める
  5. 今後の向き合い方へのアドバイス

Metaの次世代AIエージェント「Muse」をめぐるニュースがここ数日、タイムラインを賑わせています。9月23日のMeta Connectでは華々しい新機能群が発表された一方で、その直前にはMacアプリの重大な脆弱性が指摘され、Amazonからは完全にアクセスを遮断され、さらにはMetaの役員がオープンソース「OpenClaw」の設計を参考にしたことを公に認めるなど、まさに波乱万丈の展開となっています。先日登録方法を解説しましたが、今回は使い始めたユーザーが知っておくべき重要トピックをまとめました。

まずはMeta Connectで発表された注目の新機能

Connectで発表されたMuse関連の主なアップデートは以下の通りです:

  1. リアルタイムアバター対話:画面越しにMuseのアバターとビデオ通話のような形で顔を合わせながら、直接タスクを指示できるようになります(Meta公式は「近日提供予定」と告知)。
  2. Metaスマートグラスとの統合:音声の起動ワードを呼びかけるだけで、ワークアウトのコーチング、食事記録の登録、スケジュール予約、オンラインショッピングなどを代行。今後数ヶ月以内に順次展開予定です。
  3. Macの自律操作機能:指示を出すだけで、Mac上の任意のデスクトップアプリをエージェントが自律的に直接操作してタスクを遂行します。

さらに、Muse専用のメールアドレスが付与され、CCに入れたりメールを転送するだけで要約や返信ドラフトの作成が可能になります。ショッピング面ではShopifyやStripe、Shop Pay、PayPalと連携し、Best Buy、Gap、Sephora、Walmart、Wayfair、Expedia、Instacartといった大手小売・サービスが参画。開発者向け連携ツールとしてはGitHub、Granola、Notionが先行し、提供開始から1週間で1,500件以上の連携リクエストが殺到したとのことです。

また、「Muse Charm」と呼ばれるポケットサイズの音声専用小型ガジェットもチラ見せされました。価格や発売時期は未定で、年内に追加情報が公開される予定です。TestingCatalogの調査によるとMessengerやTelegramのサポートも準備中とのことで、現在はWhatsApp連携が先行稼働しています。

落とし穴1:Macアプリに潜んでいた脆弱性

著名なセキュリティ研究者 Patrick Wardle 氏の指摘により、MuseのMac版アプリに文書化されていない設定項目が存在することが判明しました。管理者権限を持たない一般ユーザー権限のプログラムであっても、この設定を背後から密かに書き換えることが可能だったのです。
もし悪用された場合、ユーザーがマイクに入力した音声データが攻撃者のサーバーへ横流しされ、Museのログイン認証トークンまで一緒に抜き取られる危険性がありました。

ただし、これを成立させるには「すでに悪意あるマルウェアがMac内で実行されていること」が前提となるため、普通にMuseアプリを起動しただけで直ちにハッキングされるわけではありません。Meta側は「現実世界における悪用リスクが極めて低いローカル特権昇格のバグ」として分類し、すでに修正パッチを適用したとコメントしています。とはいえ、現時点でCVE等の詳細な公式セキュリティ勧告は出ておらず、どのビルド番号で修正されたのかも明記されていません。Mac版をお使いの方は、必ずアプリを最新版にアップデートし、出所不明なターミナルコマンドを安易に実行しないよう注意してください。

落とし穴2:Amazonからの出禁ブロック

Museの目玉機能の1つは「ユーザーに代わってネット通販で買い物をしてくれること」ですが、ECの巨人・Amazonはこれを拒絶しました。9月21日頃から、AmazonはMuse経由のアクセスを全面遮断しています。Museに「Amazonでこれを買って」と頼むと、「許可されていないAIエージェントによる継続的なアクセスはAmazonの利用規約に違反します」というエラーが返ってきます。
Amazon側の主張は、「Museは事前の認可や身元明示を行わずにアクセスしており、ユーザーのログイン認証情報を代行保持することはセキュリティおよびプライバシー上の重大なリスクである」というものです。

Metaは「Museがパスワードや決済情報を平文で覗き見ることはなく、認証情報はセキュアに暗号化保持されている」と反論していますが、結果として現在AmazonでMuseに買い物をさせることはできません。ショッピング機能を使いたい場合は、公式提携しているパートナーサイトを利用するのが無難です。

話題3:オープンソース「OpenClaw」の参考を認める

Museのリリース直後から、AIの性格や行動指針を定義する「SOUL.md」など一部のファイル構成や命名が、オープンソースプロジェクト「OpenClaw」と酷似していることがコミュニティで話題になっていました。
これに対し、開発を統括する Nat Friedman 氏は9月22日、X上で「OpenClawから非常に多くのインスピレーションを得た」と率直に認めました。ただし「コード自体はゼロから書き起こしたオリジナルである」とも強調しています。Friedman氏によると、今年1月にOpenClawに触れてそのポテンシャルに衝撃を受け、チームの全エンジニアに触らせるために数百台ものMac miniを自腹で買い集めたという裏話も明かされました。

一般のユーザーにとっては実害のない話ですが、Museの画期的な体験の原型が、オープンソースコミュニティの草の根の実験から生まれたことを示す象徴的なエピソードです。プライバシーが気になる方は、自分で完全にコントロールできるOpenClawのセルフホストを試してみるのも面白いでしょう。

今後の向き合い方へのアドバイス

リリース初週で50万ユーザーを突破し、米App Storeの首位に躍り出たMuseの熱狂は本物です。しかし、あらゆるプライベートアカウントの権限をAIに預ける「エージェント型サービス」は、利便性と引き換えに、何かあった際のセキュリティリスクも跳ね上がります。
まずはカレンダーなどの低リスクな連携から試し、メールやEC決済のメインアカウントを連携するのは、各社のルールやセキュリティ対策が出揃うのを見届けてからでも遅くはないでしょう。

あなたはすでに、どのアカウントをMuseに連携させましたか?